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小説『黒猫館の殺人』ネタバレ感想。手記の内容は事実か偽りか

本、読んでますか?

推理作家・綾辻行人さんの著書、黒猫館の殺人を読ませていただきました。

こちらは大人気「館シリーズ」の一冊で、全9作品ある中の6番目の作品となります。毎度おなじみ建築家「中村青司」の建てたとされる館でおきるミステリーです。

私はこの「館シリーズ」が好きで現在までに順に読ませていただいていますが、どれを読んでもおもしろい!

個人的にベストはやはり一作目が好きでしたね。

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遂に第6作目、黒猫館!評価としては結構面白かった!って感じです。

今回もスコーンっとやられてしまいましたが、気持ちのいい程のどんでん返しか?といわれるとそうでもなかったかもしれません…

あらすじ

自分が何者なのか調べてほしい。記憶を失った老人の依頼が推理作家鹿谷門実のもとに舞い込んだ。唯一の手がかりは彼が自ら書いたと思われる「手記」。そこには「黒猫館」で彼が遭遇した奇怪な事件の顛末(てんまつ)が綴られていた。舞台は東京から札幌、阿寒へ……。探求の果てに明らかとなる世界が揺らぐような真実とは!?
出典:講談社文庫 内容紹介より

今回もシリーズの要となる推理作家は登場しますね。そして今回の舞台は北海道です。

「黒猫」というところだけ見ても館の様子は想像できません。なぜ黒猫館なのか?というのも注目したいですね。

ざっと内容紹介

これ以降はネタバレを含みます。ご注意ください。

稀譚社の編集者”江南 孝明”に火事で記憶をなくした老人からの連絡がきます。その老人は過去の出来事を覚えておらず、名前すらも覚えていません。

しかし自分のことは”鮎田 冬馬”と名乗りました。その理由は彼が火事の時に一冊の手記を持っており、そこに記された名前だったからです。

そしてその手記によると、彼は以前、学者の”天羽辰也”という人物が建築家”中村青司”に依頼して建てさせた「黒猫館」というところで管理人をしていた。というのです。

しかもその中には現実かどうかわからないが、恐ろしい事件について書いてあると…

鮎田は自分のことを思い出すために、そしてその手記の内容が実際にあった出来事かを知るために、同じく中村青司に関係のある作家”鹿谷門実”を頼ります。

手記にはこのような内容が書かれていました。

黒猫館の所持者であるオーナーの息子”風間 裕己”と友人の氷川 隼人、木之内 晋、麻生 謙二郎を含めた合計4人が訪れる。

ここでそのうちの一人より、黒猫館のある噂を耳にします。

その噂とはかつてここには科学者がいて奥さんと飼い猫を殺し、地下室の壁に埋めたと。そこでは笑い話で終わります。

鮎田にもてなしを受けていた4人でしたが、ここで現地で知り合った女性”椿本 レナ”も館に来ることになります。

その日の夜、望まない氷川を椿本 レナが無理やりドラッグを使い理性を失わせ、5人で性行為をしました。

次の日の朝、椿本 レナが絞殺されて死んでいるのが発見されます。

ドラッグの影響で皆記憶が曖昧であり、誰が殺したかわからない。

ここで鮎田さんの助言もあり、ここは5人の秘密にして、女性は地下に隠してしまおう、ということになります。

しかし館の地下室には隠し通路があり、その先には噂通りだったかのように白骨した少女と猫の死骸がありました。

…これらの内容を読んだ鹿谷と江南は情報を集め、天羽辰也の知り合いを訪ね2つの事実を知ります。

黒猫館は「北海道の阿寒」にあること、そして彼は「全内臓逆位症」だったこと。

うちのネコ
うちのネコ
心臓や胃が普通の人と逆の位置にある、という病気。ラッキーマンも全内臓逆位症らしい

その後再び手記の中では麻生が遺書を残して自殺してしまします。

完全な密室、そして麻生の最愛の母親が最近なくなったために自殺をほのめかしていた、という事実もあり、何も疑われず自殺扱いとなりました。

…その後阿寒にある屋敷にたどり着いた鹿谷と江南と鮎田の3人。

しかしここであることに気がつきます。それは手記にあったような内容の館ではなかったのです。

これまでの経緯と館の様子から鹿谷は導き出します。

鮎田冬馬と天羽辰也は同一人物であると。そして館はそもそも2つあったと。

中村青司は天羽辰也に依頼を受けた時、アリスになぞって2つの館を作った。1つは「不思議の国のアリス」、もう1つは「鏡の国のアリス」。

そして「鏡の国のアリス」のモチーフにした館は赤道を挟んで地球の反対側にある「オーストラリアのタスマニア島」にあると。

そして事実が明るみになる。かつて天羽には溺愛した血の繋がっていない1人の娘がいた。その娘を殺してしまい、館の地下に埋めたのだった。

…しかしその後の話もありました。

鮎田は実は知っていました。椿本 レナを殺したのは麻生ではなかった。そもそも誰にも殺されていなかった。

しかしそれが原因で家を調べられると、自分が殺した娘が発見される可能性があったため、誰かが殺し、それを手助けする、という方向に持っていったのです。

そして状況証拠から麻生を殺したのは氷川だった。彼は自分が殺しかもしれない、という現実に耐えられず、自ら犯人を作り上げ、その現実を曲げようとしたのです。

レビュー・感想

今回の館、非常にトリッキーではあるんですが、館自体というよりは館の存在自体がトリッキーでしたね。

まずは、話の元となる鮎田さんの手記ですが、確かに引っかかるところ満載でした。

特に気になったのは「若者たちのドラック」と「鮎田さんの料理」ですね。

まずドラッグ。なぜあんな簡単に手に入っているのか。そして女性もすんなりとドラッグを受け入れている。うーん、何となくリアリティーがない。

これは私が日本の北海道をイメージしていたからだったんですね。これが海外となれば一気に真実味がわきます。

うちのネコ
うちのネコ
海外は日本よりも手軽に手に入りますから

そして「鮎田さんの料理」ですが、ここは盛大にツッコミましたね。

料理が得意でない、といっておきながら若者たちに出した料理に使用した肉がラム…

さらに『お口に合いませんか…?』ってセリフを見てさすがに違和感が最大でしたね。この人はなぜこんなチャレンジャーなのかと。

うちのネコ
うちのネコ
おま!なにをそんな頑張っちゃって!カレーとかでいいのに!

そして大きな謎でもあった鮎田 冬馬=天羽 辰也という図式。これは私も本の中で答えが出る前にわかりました。もう最初の時点で「名前をアルファベットにして逆から読んだもの」って気づいた方も多かったようです。

確かに私も「鮎田 冬馬」と「天羽 辰也」という名前を見て、違和感はありました。やけにカッコいい名前だな、と。

しかし今回はこれよりももっともっと大きな謎があったわけですね。

話の舞台が日本の阿寒ではなくオーストラリアだった、というどんでん返しです。これに関しては全くわからなかったです。

でも…再度本を読み返してみましたが、彼らの会話で『東京の冬は~』みたいな会話が出てきますが、海外に行ったら普通『日本の冬は~』って言いません?

ただもちろん違和感はないですし変ではないといえば、変ではないです。そして鹿谷さんの伏線回収でほとんどの違和感がスッキリしてしまうので、やっぱり完敗ですね。

うちのネコ
うちのネコ
海外にいても相手が日本人だったら『東京の冬は~』って言うよな…と思うと悔しい!

ただ今回のヒントの1つであった「鏡のアリス」ネタ。こちらに関して私は全く知識がなく観たことも読んだこともないので、サッパリ…

ここでなんだか気持ちが落ち着いてしまった感がありました。もし自分がアリスのネタを知っていて尚且つ好きだったとしたら、もっと『おおっー!』っとなっていたと思います。

そう思うとちょっともったいなかったですね。

結果的には今回もスコーンと返されてしまいました。読み終わったときは満足感のある日曜日となりました。

そして世界の名作にももう少し目を向けようと思った午後でした。

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