2冊目を読み終わりました。
今回は推理作家・綾辻行人さんの著書、暗黒館の殺人を読ませていただきました。
こちらは大人気「館シリーズ」の一冊で、全9作品ある中の7番目の作品となります。
今回の暗黒館はシリーズ1の長編大作ということで、なんと文庫本版では一〜四の4冊で構成されています!
なお一冊目読了後、一冊目で気になったことや、その考察に関して書かせていただきました。
今回はその二冊目ということで、一冊目と比べてみて明らかになった点や新たな謎を照らし、事件の予想をしてみます。
すでに読んだことある方なら『おかしなこと言ってんな』と思うかもしれませんが、『私もそう思っていた!』という方がいてくれたら嬉しいです。
あらすじ
蒼白い霧に峠を越えると、湖上の小島に建つ漆黒の館に辿り着く。忌まわしき影に包まれた浦登家の人々が住まう「暗黒館」。当主の息子・玄児に招かれた大学生・中也は、数々の謎めいた出来事に遭遇する。十角塔からの墜落者、座敷牢、美しい異形の双子、そして奇怪な宴…。著者畢生の巨編、ここに開幕。
出典:講談社文庫 内容紹介より
※ネタバレにならないようにあらすじは一冊目のものです。
話が壮大なだけに人間関係も非常に複雑なため、今回も本の中から家族の家系図をお借りしました。下記をご覧ください。
※小説「暗黒館の殺人」より引用
一冊目までの気になった点とその予想
これ以降は一冊目までのネタバレを含みます。ご注意ください。
謎の声の正体
「江南くん」ともう一人「中也くん」に聞こえる謎の声。
その理由は「江南くん」と「中也くん」は兄弟だからだ、という予想です。
【2人とも記憶をなくしている】という状況から、きっと彼らは実は兄弟で潜在意識が繋がっているため2人にだけ謎の声が聞こえる…ということですね。
江戸川乱歩の影響
江戸川乱歩の小説「孤島の鬼」という小説には「傴僂」と「シャム双生児」のキャラクターが登場します。
http://721st.com/kotounooni/
この小説では、「そのような体にさせられてしまった」という内容がありました。
そのため今回の小説でも「誰かにそのような体にさせられた」という予想です。
ダリアの宴
ダリアの宴と言われる浦戸家の宴会に招かれた中也くん。
美味しいと言えない「謎の肉」を食べさせられますが、その肉は何の肉だったのか?ということです。
非常に嫌な予想ですが、きっと「人間の肉」だったんじゃないかと…
そしてその人間とは、未だどこにいるかわからない「首藤利吉」という予想です。
二冊目まででわかった点
謎の声の正体
結果として誰の声かはわかっていません。
しかし、新しい真実として、なんとその声は近くの村から冒険に来た「市朗」にも聞こえてました。(正確には表記されていた)
ってことは「江南くん」と「中也くん」は兄弟で潜在意識が…ってことは間違いなようです。
ただし「江南くん」と「中也くん」になにも関わりがないか?ということに関しては未だにわかりません…(あきらめない)
二冊目までの気になる点を予想
素人のなんとなくの予想です。ご勘弁ください。
今回、さすが長編ということもあり、二冊目はまだまだ折り返し地点。よってなにもわかっておらず、謎は増える一方となっています。
二冊目の後半には中也くんが謎を(読んでいる読者のためにか)まとめてくれました。
その中で私も同様に気になった点と考察を書いてみたいと思います。
宴での謎の肉は一体?
前回は宴で出てきた肉を「首藤利吉」の人肉ではないか?と予想しました。
しかし、少し違う予想が出ました。
あれは「肉」というものに注意を向けて、実は肉ではなくてあのスープ自体に問題があったのではないか?という予想です。
具体的に言えば、肉は普通の牛か何か。スープの中に「あるもの」が入っていた、ということ。
そしてその「あるもの」とは、「幻覚剤」かと思われます。
理由としては、二冊目の最後に市朗が人骨の沼に落ちてしまい、そこでムカデが大量に…という話で終わりましたが、それは中也くんの幻覚だったのでは?と。
骨やムカデに関しては中也くんの視点から語られたもので、市朗も玄児もそのことに関しては明言してないですしね。
江戸川乱歩は引っ掛けか?
一冊目を読み終わった際に、「この作品は江戸川乱歩の有名な作品『孤島の鬼』から影響を受けているのではないか?」と書きました。
しかし、よくよく考えると、それと同じ内容にするなんて絶対にないですよね。となると、一種の引っ掛け(ディストラクション)が思い浮かびます。
美鳥と美魚の2人は実は「シャム双生児ではない」ということです。
その場合、もちろん「なぜそう見せかけているか?」という疑問もあります。そして2人を取り上げた野口先生も嘘を言っていることになります。
しかしもしも「生まれた時はシャム双生児のような身体だったが、実はすでに分離手術を受けている」という解釈だったら…
それなら野口先生も嘘を言っていることではないことになります。
惑いの檻とは?
ここでは、美鳥と美魚の2人が「成功」「失敗」「特別」という言葉でまとめていました。
これに関しては、全く何のことか見当もつきません…
考えられるとしたら…「標本化に成功したかどうか?」ということです。
美鳥と美魚の2人が飼っていた猫が標本にされた件。そこから関連した内容ですが、可能性はあると思います。
そして「特別」というのは標本にするのに成功したわけでも失敗したわけでもない…ってことは食肉にされたか…
なぜ伊佐夫=蚯蚓(ミミズ)?
美鳥と美魚の2人は他の人を動物や植物に例えます。その中で首藤伊佐夫は「蚯蚓(ミミズ)」と表せられました。
彼女たちの例えには「見た目」が似ている場合と、「特徴」が的を得ている場合があります。
例えば、早老病の清は見た目から「お猿さん」。自分たちの母親はびっくりしちゃっているという理由から「仙人掌(サボテン)」。
この場合、見た目がミミズというのはちょっと考えられないです。
なのでミミズの特徴を調べてみました。
ミミズ(蚯蚓)は、環形動物門貧毛綱(学名: Oligochaeta)に属する動物の総称。目がなく、手足もない紐状の動物である。名称は「目見えず」からメメズになり、転じてミミズになったとも言われ、西日本にはメメズと呼ぶ地域がある。多くは陸上の土壌中に棲む。
出典:Wikipediaより
やはり気になったのは「目がない」という部分でしょう。しかし首藤伊佐夫には目があります。
つまりこれは比喩的な捉え方で、「彼には見えていない」ということだと思います。
浦戸家のことが見えていない。そのことを否定的な意味で言ってるのではないか?と思います。
まとめ
まあ、相変わらず何もわかっていない状況ですが、徐々に役者が揃ってきた感があります。
個人的に想像力を掻き立て考えてみましたが、これがミステリー小説の面白い部分ですね。
三冊目では徐々に謎が解決してくると思います。それと同時に、さらなる謎も出てくるでしょう。
後半戦突入!
2019/5/16
3冊目も読了