小説『オリエント急行殺人事件』ネタバレあらすじ感想。キモノ??

アガサ・クリスティーの代表作の1つ、オリエント急行殺人事件を読みました。登場するのはあの名探偵ポアロ。なお私にとって初のポアロ作品です。

舞台はヨーロッパでの寝台列車の中。この列車内で事件が起こります。

登場人物の身分も人種もバラバラで、殺害方法と照らし合わせても不可解なことが多い。まさにTHE推理小説といった感じですね。 推理小説を読んだことない方にもオススメしたいです。

オリエント急行殺人事件が世に出たのが1934年。かなり昔の作品ですが、今なお人気は衰えておらず2017年12月に映画化もされました。

個人的な感想としては、まあ、普通におもしろいって感じですかね。

ただ色々複雑だった部分も多かったと思います。また個人的には別の問題もあり、評価が少し下がりました。

あらすじ

厳寒の季節に似合わず国際列車オリエント急行は世界各国からの乗客でいつになく混んでいた。一癖も二癖もある乗客たちが作る異様な雰囲気のなか、雪で立往生した車内で、老富豪が何者かに刺殺された。名探偵ポアロが腰を上げたが、乗客のすべてには堅牢なアリバイがあった…大胆なトリックに注目の著者の代表作。
出典:Amazon 「BOOK」データベースより

雪で立往生した車内で老人が殺された…密室殺人というやつですね。

乗客にはアリバイが合ったということで、話のメインは「ポアロはどうやってアリバイをくずしたか?」ってことになりそうです。

レビュー

これ以降はネタバレを含みます。ご注意ください。

まず、いきなりですが、私が個人的に失敗した問題に関して先にご紹介させて頂きます。

それは「翻訳の精度」に関してです。

今回電子書籍で本を購入しましたが、「オリエント急行殺人事件」の検索結果に何冊もでてきました。そのうちのひとつが激安セールを行っていたため『お、これがいいや!内容も同じだし!』ということで購入しましたが、読んですぐに気づきました。

翻訳されたのが非常に古かった本だったんですね。

買ってしまったからには読まねば、と思い全て読みましたが、やはりところどころ違和感が多く、気持ちが素直に入っていきませんでした。

中でも「キモノ」と訳された服があり、ヨーロッパの寝台列車で「キモノを着た婦人が…」といわれても、やはりしっくりこなかったです。実際の訳は、今で言うガウンのようなものだとは思いますが…

調べてみたら、その本は1957年12月に初版が発売と書いてありました。

そりゃ古いですよね。ケチらずに最新の翻訳で読めばよかったと、後悔です。

うちのネコ
うちのネコ
皆さんはなるべく新しい翻訳本をお買いになってね!

そして肝心の内容についてですが、正直途中で展開が読めてしまいました。全員が犯人及び共犯者的な結末ですね。

もちろんこれは私の推理力がポアロ並だったとか全然そうゆうことではなく、『こいつら全員グルなんじゃないの~?』って気持ちで読んでいったら、結果『あ、やっぱり。』って感じでしたね。

でもみんなで1回ずつ刺したっていうのはすごいびっくりでしたね。私の中ではみんなが共犯と言っても、刺した一人を庇っている、って思っていました。いやーここまで恨まれる人生なんて。。

また個人的に少し残念だなと思ったポイントが2つあります。

1つは、殺されたラチェットの罪の深さがわかりづらかった、ということです。

ラチェットは幸せな家庭の女の子を誘拐し身代金を取った挙句、女の子を殺害。そのショックで家庭は崩壊し、自殺者も出るなど、確かにやったことはとんでもない悪でした。

ただいかんせんその「情報」だけしか書かれていなくて、そのときのラチェットの「悪」が伝わってこない。

個人的には、回想シーンのようなものを入れてもらい、どんだけ残虐だったか、事件のせいでどんだけ家族が苦しんだか、というのを書いていてくれたら、ラチェットを憎み、より物語に気持ちが入り込めたように思います。

うちのネコ
うちのネコ
『俺も1回刺していい?!』って感じに

もう1つは、乗客ひとりひとりの尋問(取り調べ)のシーンが長い、ってことですね。

やむを得ないことではありますが、あの人数でひとりひとり聞いていくのをただ読んでいるのは正直退屈でした。

しかも何人も聞いたら、誰が何を言ってたか途中で忘れてしまいます。

さらにいえば馴染みがなく、難しい名前も多いので、話がより複雑に感じてしまうんですよね。

ドラゴミロフ公爵夫人にアンドレニ伯爵夫人、ヒルデガード・シュミットなど…まあこれは世界観があるから仕方のないことかもしれませんが…

うちのネコ
うちのネコ
「トム」とか「ジョン」とかならまだね

私が一番この小説で好きだったのは、ラストシーンです。

ポアロはみんなの前で2つの答えを導き出します。そしてそのどちらが正しいかは、その列車の車掌さんに選んでもらうことにしたのです。

「列車に乗り込んできた外部犯の犯行」か「乗客12人の犯行」ですね。

どちらが正しいかはポアロによって明らかにされました。しかしその答えを選ばせる、というやり方が非常にクールでした。

もちろん法の上ではどんな理由があろうと12人は罪に問われますが、その裁きは自分の役目ではないとポアロはいいます。

探偵の役目は真相を暴くこと。 この考え方をみて、そうゆう探偵もいるんだなと。どうも某メガネ蝶ネクタイ名探偵のせいで、探偵は罪人にバシッと罪を言い渡すことまでが仕事、ってイメージがありますが…

ポアロの考え方も納得できますし、個人的はポアロのやり方が好きでした。

うちのネコ
うちのネコ
猫って寝台列車に乗っていいのかな?