私なりのラストの考察と、『この映画、本気で騙してくるぞ。気をつけろ!でも騙されたときは驚きで感動しちゃうぞ』って気持ちを書いた記事です。
ヘロー、オリ(@721st)です。
ジェフリー・ラッシュ主演のサスペンス映画、鑑定士と顔のない依頼人(The Best Offer)をご存知ですか?
この映画、いろいろすごい。ストーリーとか結末とかもそうなんだけど、結局「わかんない」ってところがすごい。いや、すごくいい作品。
あらすじ
天才的な審美眼を誇る美術鑑定士ヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)は、資産家の両親が遺(のこ)した美術品を査定してほしいという依頼を受ける。屋敷を訪ねるも依頼人の女性クレアは決して姿を現さず不信感を抱くヴァージルだったが、歴史的価値を持つ美術品の一部を見つける。その調査と共に依頼人の身辺を探る彼は……。
出典:シネマトゥデイより
キャスト
ジェフリー・ラッシュ(ヴァージル)
ジム・スタージェス(ロバート)
シルヴィア・フークス(クレア)
ドナルド・サザーランド(ビリー・ホイッスラー)
フィリップ・ジャクソン(フレッド)
ダーモット・クロウリー(ランバート)
バーの客 キルナ・スタメル(英語版)
リヤ・ケベデ(サラ)
”ドナルド・サザーランド”はあの海外ドラマ「24」の主役である「キーファ・サザーランド」のパパだよ!
レビュー・感想
これ以降はネタバレを含みます。ご注意ください。
これ、騙されなかった人いるんですかね?
もういろいろ騙されすぎて、『もーいいや!』ってなりましたよ私は。
まずはヴァージルの純愛がね、もうね。
彼は恋愛をしたことがなく、興味があるのは絵画の中の美女たちという、一見おかしな老人です。
今までに女性経験のない、つまり童貞で、未婚で60歳を過ぎてるわけで。
そんなヴァージルが若くてとても美人なその女性クレアに恋をしちゃうわけですが、ここが映画のミステリー云々を抜きにしてすごくいい。
しかもその描写がかなり丁寧でね。
ジム・スタージェス演じるハンサムなロバートから色々と恋愛のアドバイスを聞き、一生懸命実行して行く姿…
気持ちわかりすぎる。
人を好きになった人がその人に好かれたくて努力したり考えたり悩んだり。誰もが一度はあるあの経験です。
ジム・スタージェスがかっこいいドラマはこちら↓
愛っていうのは見ていて本当いい。
「60歳男性が若い女性に恋をする」という彼にとって人生初の純愛ともいえる内容は、ミステリー映画ということを忘れさせるくらい良かった…
また、最初の方はクレアの声しか登場せず、代わりに昔の精巧な人形「オートマタ」というものが登場しました。
なるほど、と。この時私は思ったわけです。
”オートマタという昔の精巧な人形が実は依頼人だった”、というファンタジー映画的なものか。あの声は、心を宿した人形の声だったのか、と…
これが全然違う!笑
その後クレアが(結構普通に)出てきてしまう。また騙された!って感じです。
でもその後のヴァージルとクレアの恋を見て『なんか良い映画なぁ』と思ってしまうんですよ。
集中力も途切れ、甘酸っぱい世界で漂ちゃうわけですよ。ボケーっと。
なんせクレア役の”シルヴィア・フークス”が美人すぎてね、困っちゃう!
途中ぐらいまでは『これは製作側がジャンル分けを誤ったな』と普通に思っていましたからね。
こう思っていた私みたいな鑑賞者は、製作側にとっては絶好のカモ。
ボケーと見ていたら、どぉーんッ!
騙されましたよ、正直感動すらしました。『ウソーン…』って声出ちゃってましたし。
結果として、作品の真偽を見破る天才だったが、人の気持ちの真偽は見破れなかったという皮肉な結末です。
心に大きな傷を負い、老人ホームに入ってしまうヴァージル。全てが無気力になってしまい、まるで人が変わってしまいます。
しかし、送られてきた1通の手紙を読んだところから突然彼の中で何かが動き出しました。
ヴァージルは騙される前に、クレアとある場所について話をしていました。それはある街のレストランのことです。
ヴァージルは手紙を読んだ後に、そのレストランに向かいますが…ここからがラストの考察。
彼はなぜレストランに行ったのか。
この謎に関して、映画の中では語られていません。レストランについたヴァージルが、険しい表情で人と待ち合わせしていると店員に言って終了…
レストランに行った理由に関して、2つの可能性が考えられます。
1つ目は、ヴァージルはクレアと会うために行った。
2つ目は、クレアが話していた場所に思い出として行ってみたかっただけ。
他の方のブログを見ると、様々な推測がなされていました。
多かった推測として、老人ホームに入ったヴァージルが一生懸命リハビリをしたのは部下が持ってきた手紙の中にクレアからの手紙があったからだ、と。
つまり、ハッピーエンドな推測。
私もヴァージル好きですか。ヴァージルLOVEですから。ハッピーエンドに越したことはないんですが…
しかし私個人としては、あれはやっぱりバッドエンドです。
レストランにいく前にやっていたリハビリも「リハビリを頑張ってる」、というよりは「やらされてる」と感じ取れました。
喜びよりも、憎しみのようなものが感じ取れ、最後のレストランのシーンでも『期待を胸に待っている』という表情には見えなかったなぁ。
まあ「会えるのは嬉しんだけど、一度バシッと起こらないと気が済まないんだ!私は!」って可能性もありますが…
ただ自分で言っといてなんですが、バッドエンドで終わらせるなら、絵が全部なくなったと気づいたあの所で、すぐさまエンドロールでも良かったですよね…
そのあとも色々付け足したのは、やはりハッピーエンドのためなのでしょうか?
または「結果的にはバッドエンドだけども、かすかな希望を信じて努力をし、クレアに会える可能性を信じてレストランに向かう」という彼の本当の愛が見えたという形のハッピーエンドのためなのでしょうか?
なお、製作側はハッピーエンドだと言っているようです。答え出ちゃった…
しかしハッピーエンドにも限りなくバッドエンドに近いものもあります。
全ては見た人の感じ方次第、ということでしょうか。